コミュニティレンタルスペース運営:犬飼 詩織





「ふとつぶやいたことが形になる。面白い化学反応が起きる場所にしたい。」

2017年9月、豊田市の街中でコミュニティレンタルスペース「kabo.」をオープンした犬飼 詩織さん。
Facebookページはいいね!の数が700を超え、オープンに向けて挑戦していたクラウドファンディングでは目標の150万円を超え200万円の支援を達成しています。
さまざまな可能性を試しながら、地域と若者がゆるくつながる場を創っている犬飼さんにお話を伺ってきました。

犬飼 詩織(いぬかい しおり)

kabo.代表

1988年生まれ
豊田市出身、豊田市育ち


ブログ⇒http://kaboc.blog.jp
Facebook⇒https://www.facebook.com/pg/かぼ-kabo-204488943405309/
Twitter⇒@kabo_toyota
Instagram⇒@kabo_toyota

地域に関わることで豊田を好きになった。

■猿渡
豊田市の街中に関わるきっかけって何だったんですか?

□犬飼
きっかけは大学生のころですね。大学は日進にあって、家から電車で通ってて。
当時、保育園に行くボランティア活動や学祭の実行委員をやってたんですけど、土日にわざわざ向こうまで行くのがめんどくさくなっちゃって(笑)
豊田の街中で何かできないかなと思ってたんです。
大学1年生のころから豊田の子育て支援センターでボランティアをしてたんですけど、そこで『とよた学生プロジェクト(通称:学プロ)』のメンバーに出会って、何か一緒にやってみようかなと思ったのがきっかけですね。

■猿渡
『学プロ』ってどんな団体なんですか?

□犬飼
『学プロ』は竹生町の児ノ口公園あたりを中心に活動している団体なんですけど、いろんな学校から学生が集まっていて、私みたいな保育を学んでいる人もいれば、福祉関係で障がいや高齢者関係のことを学んでいたり、情報関係の子とか、それぞれの得意なことや好きなことを活かしてちょっと誰かのためになって、しかもそれで豊田が盛り上がるといいよねという団体です。

その団体で活動しているときに街中のことを全然知らないことに気づいて。
……例えば、公園ひとつでも、「こんな自然な公園が街中にあるの?ホタル飛ぶの?」みたいな。しかも公園を地域の人で管理していることにビックリしたし、その近くに住んでいるおじさんやおばさんもめちゃめちゃイイ人だって気づいたりとか。実は地域にちっちゃい神社とかがあったりなど、知らないことがいっぱいあって。

まちに関われば関わるほど面白いことに気づいて、その地域の人たちと一緒に活動していくと、地域のことももっと知れる。
そういうのがきっかけで魅力を感じて、豊田がすごい好きだなって思ったんです。
元々は豊田の街には関わってなかったので、豊田のこと興味なかったんですよね、全然。

■猿渡
そうだったんですか?

□犬飼
はい、別に興味ないし、街のことを考えたこともなかったですね。
南の方はお茶畑とか田んぼとかばっかじゃないですか。生活には便利だけど、別にそんなに豊田のことが好きだと思ってない、興味がなかったのが、「学プロ」を通して街に関わるようになって、いろんな人や歴史とかのそういう話を聞くなかで面白いなって思って、もっとこういうのをいろんな人が知ってくれるといいのになって思いながら、街中でずっと活動してて、だんだん好きになって……っていうのが今、動き始めたきっかけですかね。

豊田の街中を、豊田市を盛り上げたい

■猿渡
それじゃ、ここと出会ったのは……「kabo.」を立ち上げようとなったきっかけは何だったんですか?

□犬飼
kabo.の立ち上げは、私が学生のころから地域を知れる場や若者同士がつながれる場が必要だとずっと思っていて。
いろんな場面でそういう場所はずっと探してた時期があったんですけど、なかなか借りられそうな良い物件が見つからなくって。

■猿渡
街中にってことですよね?

□犬飼
そうです。豊田の街中にこだわっているので。
田舎だったら今ならできるところが多いと思うんですけど、山の中でなく、街でやることに意味があって。
……話ずれちゃいますけど、豊田の街中って盛り上がってないというか、新しいことを始めようと思ったときに少し動きづらいなと感じてて。
豊田の山の中はだいぶ盛り上がってきてるじゃないですか。なのに街が盛り上がってないのが悲しすぎるなって思うんです。
「私の好きな街中が!」みたいな感じがあって。
街でやりたいっていうのは、豊田を好きになったきっかけの好きな街でやりたいと思う想いと、今までお世話になった人もいるしっていうのももちろんある感じですね。
あ、何の話でしたっけはじめ(笑)

■猿渡
全然いいですよ(笑)
えっと、街中に借りられそうな物件を探してて……

□犬飼
そっか、そうです。
学生のころからどんな形がいいのかなって思ってて、カフェがいいのか、はたまたコワーキングスペースとかなのか、何なんだろうな……モヤモヤみたな感じでずっといて。
『ゲストハウスdanon』に出会ったことがきっかけで、ゲストハウスって街の魅力を伝えるためにもすごく良い場所だし、外から来る人も中の人も交流をしながら新しいことが始まる場所ってすごくツールとして良いなって思って。
danon以外のゲストハウスに行っても、私が好きだなと思うスタイルのところだといい感じの交流があるので。

■猿渡
地域の人と外の人も全部ひっくるめてっていうことですよね。

□犬飼
そうですね。
つながったりとかそこで化学反応が起きて面白いことが起きたりっていうのが良いなって思って、ゲストハウスを豊田の街中でやろうと去年の初めくらいからそれはずっと思ってて。

■猿渡
学生のころから何かしたいな、豊田の街中で何かしたいなーってずっといろいろ考えてて、去年くらいに指針が見えたっていう感じですかね。

□犬飼
そんな感じです。
それまでも違う形で交流する場を提供してきました。
例えば、外で交流する場『street party!』をやってみたり、いろんな形で場を創ってきたけど、何かしっくりこないなっていうのがあって。
しっくりきたのがゲストハウスだったという感じです。
実際に地元のことが嫌いだった東京大好きな人が、ゲストハウスのおかげで地域のことが好きになったという話を聞いて、そういうことを私はしたいんだって思って。
別にみんな豊田のこと嫌いではないと思うんですけど、今住んでる豊田の人たちも……

■猿渡
豊田をもっと好きになってほしい。

□犬飼
そう。今は興味がない人が多い気がして。自分のことと関係ないみたいな。昔の私と同じ感じだと思うんですけど。
そういうのを……街に関われば、好きか嫌いかはどっちでもいいけど、興味があるかないか関係なく地域と関わるきっかけになる場所、「kabo.」なら「kabo.」でもいいし、「kabo.」で紹介したところとか人でも誰でもいいんですけど。
「kabo.」がキッカケで、「豊田って何があるの?」って聞かれたときに、この人がいるから、この場所があるから豊田はすごい良いよって言えるような人がたくさん増えてほしいなって思ってます。

夢への第一歩として「kabo.」を使ってほしい。

■猿渡
kabo.はどんなスペースにしたいと思っているんですか?

□犬飼
若い人が挑戦できる場として育てたいです。
基本的には、コワーキング、レンタル、委託販売っていうのがコンテンツで、チラシとかを置くスペースも設けてます。
予約がなければコワーキングとしてオープンしているような感じで。
コワーキングと言ってもただの作業スペースということではなくて、ここに来ている人同士がつながったり、私が持ってる情報を渡せたりする感じで人と情報が交差するコワーキングになればいいなと思ったり。

それからレンタルスペースとしても貸出します。
例えば、講座をプロジェクターとか使ってやったり、ヨガなどで体を動かしたり、みんなでご飯作って食べる、ママさんたちで集まるような会やイベント・仕事の打ち合わせで使ったりしても良いし。
ほかにも、お店を持つ前のお試しチャレンジやマルシェなど、使い方はホントに自由で、地域の人が来て話すような会とかもやっていきたい。
小さなやってみたい挑戦をしたり、気軽に使えるスペースです。

委託販売は地域で頑張ってる人たちの商品を置いて、ここに小さいお店を持ってもらって、kabo.を利用する人が実際にお店に行く循環や、つながりを作ってもらうみたいなキッカケになると良いかなと思ってて。
最終的には『kabo.おすすめセレクトショップ』みたいな感じになっていくと良いなみたいな(笑)

□犬飼
物件の関係で宿泊はできないですけど、私の中では宿泊できないゲストハウスのイメージです。コンテンツは今後新たな物件を見つけた時にやる予定のゲストハウスになってからも続けていけるものかなと。
そもそもkabo.をやる意味としては、地域の人と若者がつながるような場所にしたいっていうのと、街の中で新しい事を若者が挑戦できる街にするための第一歩として、環境を耕すための物件としてあるイメージです。
地域の人が「若い人たちってこういうことができるんだ」とか、「ここに来れば若い人たちが集まってる」と思ってもらえるような価値がある場所に育てていきたいなと。

■猿渡
楽しそうな場所になりそうですね。

□犬飼
そうですね。いろいろやりたいことはあるし、やりたいって言っている人にやってほしいなっていうこともいっぱいあるので。
どうなっていくのか分らないのが面白いですね。私もわからないみたいな(笑)

■猿渡
コンセプトとしては……

□犬飼
地域と若者がゆるくつながり、頑張る人を応援する場。魅力的なヒト・コト・モノを発信していく場です。

■猿渡
「ゆるく」とかっていう言葉がキーワードかなと思うんですが、犬飼さんの思う「ゆるさ」ってどんなものでしょう?

□犬飼
気を張らないっていう感じです。

■猿渡
自然体でいられる?

□犬飼
そうですね。例えば、これをやらなきゃいけないとかじゃなくて、やりたいってことを気軽にできるとか。仕事が終わってちょっと帰りに顔だけ出しにくるとか。
そういう使い方でいいんですよ。
お昼ごはん食べに来たとか、買い物帰りに来るとか、生活の中にある場所としてあってほしいなと思っていて。
普通につぶやいたことをこの場所で軽く形にできるみたいな場所になるといいなと思ってます。
何でもいいんですよねホントに。
本が読みたいとかだったら「本をここにいっぱい置きます」でも良いし。
そういうホントにちょっとした事をやれる場所として、そんなに気を張らずに遊びにこれる場所であって、しかも自分の居場所(サードプレイス)になると良いなという感じですかね。

■猿渡
具体的にありがとうございます。

□犬飼
意識低い系の場所でありたいと思ってて。ホントに。
こういうの始めると、意識高いからできるんだよねって思われちゃうのがあると思うんです。

■猿渡
スゴイねとか頑張るねとか言われますね。

□犬飼
そうそう。
そんなスゴイことじゃないと思うんです。
普通に自分がやりたくてやってたりとか、ちょっと困ってる人がいるから助けたりとかそのくらいのレベルだと思うんですけど。
すごくハードルが高いというか、自分の世界とは関係ない他人事みたいになっちゃうのがさみしいなと思ってて。
普通に暮らしながら日常として自分ができることとか関われることのヒントが得られると良いのかなと思って。
職場や学校と家庭の往復だけじゃなくて、今の生活がさらによくなるキッカケになると良いのかなって感じですかね。

こだわりのレスキュー素材を使用。

■猿渡
店内のいろいろなところにレスキュー素材を使ってるじゃないですか。
古家具とか、本来なら捨てられてしまう木材だったりとか廃材を救済して、棚を作ったりベンチにしたりとかやってると思うんですけど、そこにこだわってる理由ってありますか?

□犬飼
私自身が古材が好きで、レスキュー活動が面白いなとか、想いを受け継いで新しいカタチになって次のストーリーが生まれるのがいいなって思ってて。
一緒にここを作った大工さんがレスキュー活動をしていて、一緒に活動しながらすごく良いなと思って。
その活動自体も知ってほしいというのもありますね。
もし、聞かれれば「これはこうで」って言って熱く語っちゃうくらい……「こういう思いで作ったらしいですよ」とか、「100年前の鍵見たことありますか?」とかって語れます。
私も大工さんから教えてもらって、私も人に伝えられるのも面白いなって。

やりたいことがあれば一緒に形にしましょう!

■猿渡
これからkabo.がどんなスペースになったらいいなって思っていますか?

□犬飼
やっぱり常に若い人がここにいる空間になってほしいですね。
学生とかが入り浸っているぐらいの感じで良いなと思っていて。
そこに大人たちがきて、会議とかして「あの人たち何なんだろうね」みたいなこと言ったりとか、そういう人とつながって仕事の話ができたりとか。
若い人がいつもいて、賑やかでここに来ると面白い人に出会えたり、いつも新しい情報があったり。
かつ、地域の話も聞けて、豊田の面白いところが見つかるみたいな場所に育っていくと良いなと思ってます。

■猿渡
若い人っていうと30代くらいまでのイメージがありますが、そこには特に制限はなく…ですよね?

□犬飼
もちろん。
若者って言ってますけど、別に何歳とかいう区切りはなくて、気持ち的に若いとか、若い人にとってメリットになる人ってすごくたくさんいて。
否定をしない人だったらみんな歓迎です!
若者の挑戦を一緒に応援してくれたりとか。
子育て終わりましたっていう人や様々な働き方をする大人たちを見る若者がこういう生き方もあるんだなってのもすごく面白いなと思うので。

■猿渡
まずはどなたでも足を運んでほしいという感じですね。

□犬飼
はい。地域の人ともつながる場にしたいので!
前向きな人たちが集まる場所にしたいなと。
みんなでちょっとしたことに挑戦しながら、そういう挑戦が成功したらみんなで喜べるような環境にしたいです。
やりたいなって思うことがある人はぜひ「kabo.」で挑戦してもらえると私も嬉しいなと。
私も楽しいし、そこに集まってる人たちも「ああ、そういうこともやれるんだな」っていう視点が増えるし。
みんなにとってもメリットになるので、ぜひ一緒にいろんなこと考えながらやれると良いなと思ってます。

取材・文:猿渡 菜都美